前回に引き続き、デジタルデータソリューション株式会社の社員のみなさまにお話を伺っています。データ復旧会社から見たデジタル遺品のお話を聞いていきましょう。
■新しい機種はちょっと大変!?

ところで、対応されているスタッフさんですが、
各自得意分野などあるのでしょうか?「俺はアンドロイドが得意だ!」とか…
そうですね。やっぱりiPhoneを得意にしている者もいます。
「アンドロイドの中でもこのメーカーが得意です」みたなこともありますね。
なるほど!
じゃあ、その分野で得意な人に回すってことがあったりするんですね。
この案件は『iPhone転がしのケンジ』とか、こっちは『ロック殺しのお銀』に任せろ!みたいな。
そうですね。(笑)
病院みたいな形でやっていて、ある特定の領域、専門、そこのスキルに長けている者が対応するっていう事はありますね。
やっぱり、iPhoneが得意な人は、最新型を持ってたりとかするんですかね。機械が好きとか。
そうですね。
結局仕事で使うスキルも日常的に興味関心を持っているものの方が、深掘りしますので、その知識が仕事にも繋がるっていう意味ではありますね。
そういえば、iPhoneのパスコード6桁のは難しいと伺いましたが…
6桁は難しいですね。4桁はできるものもあるんですけれども。
アンドロイドに比べるとやっぱりそのiPhoneの方が、技術的なハードルは高いので。
そういうの持ち込まれたらどうするんですか?難しいやつ。
やっぱりできないものはお断りするんですけれども、ただそれで終わりではなくて、例えば「スマホがダメならパソコンはなかったですか?」などの、代替案をご提案させて頂いてます。
その他の可能性を探ると。
iPhoneのパスコードはちゃんと覚えておかないといけないですね。
1回解除して、スマホの中に入れてしまえばどうにかなるんですけれども、そもそも入れないと話にならないケースがあるので、そこがすごく課題なんですよね。
今はもう6桁を外すことに集中している感じですか?(笑)
そうですね。(笑)
世界中でそれで泣いているお客様がいらっしゃいますので。
最近は指紋や顔認証でロック解除してる方も多いと思います。
生体認証の場合は、その場に立ち会っている方が、ご遺体でロックの解除をするという事も有効でしょうか?
それが可能な環境ならば、ロックの設定を解除しておいた方が、後々のご負担は軽くなるかと思います。
生体認証なので、時間が経過してしまうと反応しなくなるという事も聞いたことがあります。
なかなか、そこまで気が回らないかもしれないですね。
現実は、気が動転してそれどころじゃないでしょうかね。
携帯の中の情報が必要になってくるのは、亡くなって少し時間が経過してからですよね。
だから、今のようなお話を予備情報として持っておくだけで、その場に立ち会った時の行動が変わってくると思います。
知っておく事がとても重要かなと思います。
なるほど!
知っとくことが大切ですよね。何かあったときに「そういえば!」ってなりますもんね。
あとはiPhoneであればパスコード入力を10回間違えるともうダメなんですよね。
10回が限度なのですが、それをやっぱ知らずに色々手当たり次第試してしまうっていう方も本当によくいらっしゃるんです。
10回間違えた後にお問い合わせ頂いても、それこそ本当に何もできなくなるので、初期化せざるを得ない。
取り返しがつかなくなるまえに、専門家に相談していただくのが一番いいと思います。
あまりいい話ではないんですけど、「亡くなった後にコレをやりなさい・やってはダメ」みたいな作業がまとめてられる資料ってあったりしますか?
今みたいな、「パスコードは安易に入れない」ですとか。
亡くなったら、指紋取りなさいっていうのは公には言えないですもんね。
為になる話でしたね。
さっそく私も行動しますよ!明日から…
■デジタル遺品の対応は大変?
デジタル遺品に関して、他にはどんなお問い合わせがありますか?
他には、例えば過労死であったりとか、自死などのケースで、その直前に何かなかったのか、仕事で何かトラブルを抱えてたんじゃないかとか、それらの原因を知りたいのでスマホを解析して欲しいという依頼も多いですね。
そのようなご依頼については、「ここからここまでは調べます」といった範囲を設定するのでしょうか
スマホの中身を全部調べるとなると、なんだかキリがなさそうですけど。
そうですね。
探すときの切り口がありまして、メール、LINE、あとは発着信履歴ですとか、通話の録音や留守電、要は職場の方とやり取りしていそうな部分に絞って調べるという事が多いですね。
ちなみに、メールを本人が削除してたとして、それも復旧できたりするんですか?
消したものも復元できるんですけれども、ただこれも注意点がありまして、消したデータって直後は見えなくなっているだけでデータとしては残ってるんですね。
ただ、その後にスマホをずっと使い続けてしまうと、上書きっていうのが発生して復元できなくなってくる。なので、もし該当のデータが消されている可能性がある場合は、電源切って一切触らない。
その状態でお預け頂くのがベストですね。
ああ、そうだ。
以前、オフラインにした方が良いって教えてもらいました!
これも意外と盲点ですよね。覚えておきましょう。
日置さんは普段どんな作業をされているんですか?
私は、基本営業ですね。
お問い合わせいただいたお客様へのご対応ですとか。
基本的に機械の話なので、難しそうなイメージがあります。
大変な事とかありますか?気をつけている事とか。
やっぱり遺品関係のお問い合わせになりますと、お客様のお悩みですとか、深い悲しみを抱えてご連絡いただく事が多いですので…
めちゃくちゃ大変じゃないですか、カウンセラーですね。
電話でお話を聞くんですか?
そういう時って、やっぱり聞き流す時もあるんですか?
しらきさん、なんてこと言うんですか!聞き流す訳ないでしょ。
いや、だって受け止められないでしょ。
そんな大変なこと毎回毎回(-_-)
でも感情移入してしまうことも多々あるので、そうですね。バランスは大切かもしれません。
それを使命感に変えて、なんとしてでもやらせていただきたいと思います。
いつも、相談にのってるんですもんね。大変だな(=_=)
モノを売る営業とは、まだ全然違いますもんね。
そうですね。
お客様が置かれている状況が、例えばお子様が亡くなった直後だったりすると、我々も営業を全面に出した態度はできませんので、何よりもまずはお客様に寄り添って、お話を聞かせていただくという気持ちでやっています。
お客さんにしたら、そういう方に対応してもらうと嬉しいでしょうね。
相手の立場に立つ。
お仕事というか、人として大切な事ですね。
■データ復旧会社からみた「デジタル遺品」
そうですね、ここ1年ぐらいでかなり増えている印象があります。
そうですね、「デジタル遺品」という言葉自体もまだまだ、世の中に浸透してないところはあるんですよね。
弊社でもインターネット広告を出していますけど、「デジタル遺品」というキーワードで検索される回数も徐々に増えてきていますので、ニーズも増していると思います。
まだまだ「デジタル遺品」という言葉自体を知らない人も多いと思います。
入り口としては、「パスワード解除の方法」とか、あと「データ復元の方法」とか、そういうキーワードが多いですけど。
おそらくその中で「デジタル遺品」というキーワードを知って、弊社にアクセスしていただくっていうことも多いんですよね。
想像するに、普通でしたらドコモとか契約しているキャリアのショップの方に、まずは相談に行くのかなと思うんですけど。
ただ「パスワード開けたいんです」という風に。
そうですね、そういうアクションをとられる方はやっぱり多いですね。
「最初はキャリアさんとかアップルさんに、問い合わせたんだけどダメでした」っていう経緯の問い合わせもありますね。
普通、キャリアの人に「ダメ」って言われたら、「ああダメなんだ」と諦めてしまいますよね。
機械に詳しくない人や、お年寄りの方なんかは、それに疑ってかかるようなエネルギーはないですよね。
存在するのかどうかも分からないサービスを調べるっていうエネルギーは、なかなかないですよ。
ところで、詳しくない方からのお問い合わせだと、苦労する事もありそうですね。
「パソコンが壊れた」という事で、弊社に来るお客様がいらっしゃいます。
でも、パソコン故障とデータ復旧は違いますので、弊社では対応できないんです。
その際は営業がパソコンの故障で検索かけたりして、「こういう会社ありますよ」というご案内をするんですよ。
熊谷(DDS社長)は、そういう方にも、ちゃんと寄り添えという考えがあります。
そのようなお問い合わせを切るのではなく、ちゃんと解決の方向へ導いてあげるというのがモットーにありますので。
誠意ある対応に救われた人も沢山居るでしょうね。
いいお話が沢山聞けました。
しらきさん、もう確認したい事は無いですか?
あ!
最後に、聞きたいのは、やっぱり儲かるんですよね。こういうサービスって( *´艸`)
相談ご依頼がすごい多いので、儲かるかって言われると、どうなんですかね。
給料が、結構良かったりするんじゃないですか?(/ω\)
ちょっと、誰にも言わないから、私にだけ、ちょっと…
ちくしょー!(聞きたかった…)
今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

次回はデジタルデータソリューションの熊谷社長にお話を伺います。
お楽しみに!