みなさんこんにちは!
わたしの名前は…
あぁ〜しらきです!
本日はセレブの街、銀座に来ております!
マダム達からの刺さるような視線を背に受けて…
今回潜入するのは、こちらでございます〜〜
ババーン!
デジタルデータソリューション株式会社(以下DDS)さんでございます。
手荷物を預けた後、厳重なセキュリティゲートでチェックを受けます。
(↑緊張して顔が変になっちゃいました^_^;)
記録機器の持込みはNGですよ〜
(取材用のカメラは許可済です!)
ゲートを抜けると、コールセンターと復旧作業スペースが配置されたフロアでした。
従業員の皆さん、訪問者にとても明るく挨拶してくださいます。
っていうか、年齢層若くね?
勝手なイメージですが、年配の技術者が工場みたいな場所で作業してると思い込んでいたので、ギャップにびっくりしました!
すごく明るくて、いい雰囲気!
こちらのセンターには1日に120〜130件(!)ほどの問い合わせがあるそうです。
フロアの中央を区切っている黒い壁のようなものは、全てハードディスクだそうです!
往年のカセットテープとかVHSみたいですね。
さて、送られてきた機器は、まずここで一旦バラして解体、それから初期診断をするそうです。
初期診断とは、お医者さんでいう問診のようなものとの事。なるほど、分かりやすい!
一般のお客様は、ただの故障という申告でしか送ってこないので、そのままでは詳しい事はわかりません。
なので、ここで故障箇所の特定をしてから次の作業に移るという事のようです。
初期診断までは無料で対応してくださるそうですよ。安心ですね!
…ここまではなんとか理解できました。…と思います。
そして、ここでの障害は「論理」と「物理」の2つのタイプに分けられるそう、で、す…。。
改めて、
送られて来たストレージ(HDDやSSDなどの記憶媒体)は初期診断によって、
以下の2つの障害に分けられるとの事です。
◆論理的障害
機械自体は壊れていないが、データに正しくアクセスができない状態
◆物理的障害
ヘッドやモーターなどの機械部分が物理的に故障している状態
診断の結果…
【物理的障害だった場合】
さらに奥にあるクリーンルーム(!)内で作業します。
後ほど説明しますが、ケースを開けて中の部品を交換する作業が発生するので
認定を受けた担当の方しか作業できないそうです。手術室並に清潔な環境です!
【論理障害だった場合】
こちらの作業スペースにてデータ復旧の作業を行います。
HDDの中身まで開けて修理する必要がないからですね。
奥のモニターに、なにやら数字のような羅列が沢山表示されており、色んな情報が確認できるようになっています。
データの破損箇所などをチェックされているのでしょうか。
素人には何が何だか分からないですが、このような記号だらけの画面がデータの中身だそうです。
文字が一文字違うだけで、アクセスできなくなったり、エラーになったりしてしまうとの事。
とてもデリケートなんですね。
最近はHDDの他、SDカードやUSBストレージのようなメモリタイプの案件も増えてきているそうです。
SDカードはデジカメやスマホ、ゲーム機など使う機会は多いですもんね。
随時質問を受け付けて下さっていたので、色々伺いました。
(一般参加の方の質問も含まれます)
Q.HDDとメモリの復旧、どっちの方が難しい?
A.お客様はSDカードのような小型のメモリは簡単で、HDDの方が機械っぽくて難しいんじゃないかと思いがちだが、実は逆。メモリタイプの方が難しい。
Q.メモリタイプの物理障害でも復旧はできる?
A.できます!(参加者:おお〜!)
メモリタイプは、HDDよりも作業工程が多くて大変らしいです。
(約2倍から、場合によっては4倍くらいの作業時間が必要になるそうなので、メモリタイプを依頼する場合はそれ相応に時間がかかるという事を覚悟しておきましょう!)
まさに作業している状態のものも見学できました。
破損箇所や細部を拡大して確認している状況との事です。
(↑中央に強い光が当たっていたので、明るさを下げて撮影)
(↑該当部分を拡大したものがモニターに表示されています。こんな微細な配線でも修理できるんですね)
【特に知る必要はないコーナー】
私達は普段「10進数」を使って生活してますね。
16進数はそれより登場する数字が多くなっています。
2進数:0 と 1 だけ
10進数:0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 の10種類
16進数:0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F の16種類
10進数で言う「30」は…
・2進数に置き換えると「11110」
・16進数に置き換えると「1E」 となります。
0と1だけが大量に並んでいるよりも把握しやすいんですね。
時間や暦、1ダースなどは12で繰り上がりますし、意外と10進数ではない数え方もあったりします。(おわり)
膨大な文字列の、ある箇所が1文字違うだけで、データにアクセスできなくなったり、エラーになってしまったりするそうです。
HDDで言うと、約2万セクタ(1セクタ512B)という単位になります。
そして2万セクタ(約10MB)の情報量を視覚化したら、この本一冊くらいになります。
驚きですね!!
1024MB=1GBで、1024GB=1TBですから…
この本1万冊分ですよ!?
Q.こんな膨大なデータでよく修復できますね?
A.これまで累計16万件を解決した実績があり、実は壊れ方の情報を持っている。
このエラーならば、この辺かな?というアタリをつけるノウハウがある。
Q.HDDの中身も年代によってデータ構造が違いますよね?
A.OSによってファイルシステムという構造も異なるが、それらについての情報も把握している。
情報の書き方のルールが分かるので、予想がつきやすい。
故に、他社に比べて復旧期間が早い(効率的に解決できる)。
まだ解析の進んでいない新しいファイルシステムの場合は、お客様に事前にお伝えする。
(その相談で「やっぱりやめます」となっても、この時点では無料!)
Q.これだけ復旧できてしまうと、完全に情報を消すって事はできないの?
A.やり方によるが、フォーマットした後って実は情報が残っている。
本でいうと目次だけを消して本文は残っているような状態。
完全に消去するには、時間のかかる完全フォーマット(0を上書きする作業)を行えば、理論上買った時と同じような状態になるので、解析は無理になる。
★確実に情報を消すには…論理的には完全フォーマット!
大量の動画や無音データで上書きすれば、それ以前の情報は解析できない!
Q.物理的に壊してもいいの?
A.壊す場合はプラッター(HDDの中に入っている磁気ディスク)を壊さないといけない。
プラッターが無傷ならば解析可能。
少しでもキズが入っていれば完全アウト。
ちなみに…
CDに傷が入った場合は音飛びするだけ。
方法として、光のピックアップでデータを読み取っているから該当箇所がエラーになるだけで済む。
その点、HDDの場合はヘッドという部品で読み書きしている(以下画像参照)
ヘッドではは磁気を読み取っており、プラッターとの距離は2nm(ナノメートル)!
指紋や目に見えるホコリがついたらNG。
傷が入った場合は、その箇所はへこむけど、傷の周囲はちょっと盛り上がる。
盛り上がった箇所(バリと呼ばれる)の方が高くてヘッドが飛び越えられない。
結局、ヘッドが引っかかって引きずる事になり、新たな傷(+バリ)を作る事になる。
…という理屈で読み取れないそうです。
Q.クリーンルームの中でしかHDDを開けてはいけないの?
A.そうです。
「クラス100」という無菌手術室並の設備にて作業をしている。
(食品工場でも、クラス1000などあるくらい徹底している)
(数字が少ない方が清潔であるという事)
Q.銀座にクリーンルームがある事に驚いた。なんで?
A.銀座であるからという訳ではないが、作業内容をオープンにする事でお客様に見学していただき、徹底した取り組みを理解していただく役に立っている。
Q.持込とかできるの?
A.郵送がほとんどだが、たまに、急ぎのお客様が持ち込んでくる事もある。
仕事上、とても大切な急ぎのデータなど。
Q.ちなみに、今までで一番高価だった案件は?
A.3000万円くらい。
某ゲーム会社のサーバ復旧。ちゃんと成功した。
Q.近年は自然災害が多く、雨水や泥水のようなものにさらされる事もあると思うが、
そういうHDDも復旧可能?
A.ケースバイケースだが、泥水でカピカピに乾いていると難しい。
濡れている方が汚れが落ちやすいので、乾かさずに濡れタオルにくるんで送ってもらうようお伝えしている。
海水はちょっと厳しい。震災時も、東北から多くのHDDが送られてきた。
Q.メーカー毎に中の構造が違うの?
A.メーカー毎に違うので、各社で認定制度がある。
作業員はテストに合格しないと、その機種の作業は行えない。
Q.このフロアに沢山あるHDDは修理中のもの?
A.これらはドナー登録されたHDDのようなもの。
修理に際して、正常なパーツを移植するために多くの種類の形式をストックしている。
(パーツの在庫を切らさないように、このフロアで7〜8000台あるそうです)
セキュリティーゲートを抜けて、セミナー会場に移動します。
(つづく)
<2019/1/8 >
記事のタイトルを「銀座にあるデータ復旧サービスの会社に潜入してみた!(前編)」に修正いたしました