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 2018.09.19デジタル遺品研究会ルクシーの古田さんに突撃インタビュー!(最終回)【あぁ〜ナットク!!】

前回の続きです。
古田さんがなぜこの仕事を始めるに至ったのか、
そして私達はデジタル遺品をどう扱っていくべきか
その核心に迫る、いよいよ最終回です。
第1回はこちらからどうぞ

どうやってこの仕事へ…!?

<しらき>
古田さんの経歴を拝見して、ちょっとおもしろいなと思ったのがですね、
もともと葬儀屋さんで働いてらして、今ライターさんやられてるとか。

<古田>
そうですね

<しらき>
そういった経歴の人って珍しい気がするんですけど、
そうなるきっかけって、何かあったんですか?

<古田>
私は名古屋出身で、学生時代は社会に出て何かやりたい事とかなりたいものってなかったんですよ。
たまたま美術と数学と物理が得意だったので、何となく建築科に入りました。
建築科の就職先って、建設現場の現場監督ですとか、建築関係、いわゆるゼネコンという業界に就職する場合が多いんです。
私もそのために上京して1年くらい働いたのですが、つまんなかったんです。で、すぐに辞めました。

<しらき>
へー。

<古田>
辞めた後に、「じゃあ自分は何がしたいんだろう?」と、その時に真剣に考えました。
それでたどり着いたのが、<葬儀の仕事(人の死を見る仕事)><モノを書く仕事>のどちらかをやりたいと思ったんです。

<しらき>
「葬儀の仕事をやりたい」って思う人って、ちょっと何て言ったらいいかわかんないですけど…
私の中では珍しい気がします。
単純に、周りに居なかったので。

<古田>
「死」って結構隠されるじゃないですか。「亡くなりました」ってなった時に、テレビとかではオープンに報じられないですよね?
直接言及せずそれとなく伏せたり、モザイクをかけたりして、何かしらの手が加えられる。だけども人って絶対に死んじゃう。じゃあその生の、本当にその死の現場ですとか、整えていない生々しい死の現場を、触りたい、見たい、嗅ぎたい、みたいな想いがありまして。

<しらき>
えーー!
すごい発想ですね!?

<古田>
その当時のバイト雑誌を見てたら、【葬儀社スタッフ】って書いてあったんですよ。
それで、「これだ!」って思って、応募しました。

<しらき>
えー面白い!

<古田>
すっごい面白かったんですよ。もちろん「仕事が」という意味ですよ?
もちろん、ご遺族に対してはちゃんと対応しておりました

<しらき>
あの、何も分からないので、私は怖いイメージがあります
お葬式とか、お化けが怖いとかいう感情なんですけど…

<古田>
ああ、そういう方もいらっしゃるとは思います。
当時のスタッフで、お化けがいるから数珠をつけてるという方が居たのですが、僕は昔からそういう事は一切信じなかったんで、大丈夫でした

<しらき>
そういう業界でバイトしてた知り合いが居るんですけど、
結構怖い思いしたって言ってたから、私も怖いイメージはあります

<古田>
霊感高い方はもしかしたらそうかもしれないですね。
でも僕は多分そういう霊感は全然なくって、大丈夫でしたね。
警察の遺体安置所という場所があるのですが、そこに検視官という人が来るまでの間、ご遺体と僕2人で2時間くらい居たりしたんですが、別に平気でした

<しらき>
ええええ!
平気なんですか!?
いやすごい、やっぱり変態ですよ!!(爆笑)

<スタッフF>
やっぱりは失礼でしょ!!

<しらき>
いや、「良い意味」での変態よ!?

<スタッフF>
変態に「良い意味」はありません!

<しらき>
でも、そんな状況でも平気なんですか。
私は耐えられません…

<古田>
はい。興味深かったですね。

<しらき>
強烈なエピソードですねー。
なぜ平気なんでしょう?
もともと理系の思考というか、非科学的なものは信じないという感覚なんですか?

<古田>
この話を掘り下げるのもなんですけど…
僕が小学生くらいの時になるんですが、当時日航機のジャンボ墜落事故ってあったじゃないですか。1980年くらいですけど、あれがTVで報じられてまして、ブルーのバックに犠牲者の名前がカタカナで表示されナレーターが延々読み上げるっていう。

<しらき>
ありましたね

<古田>
あれが、当時とても怖くて

<しらき>
いや怖かったですよ。
子供心に、私もあれは、「なんかうわー」と思って。

<古田>
そこで話はそれるかもですけども、どうやら人間は9歳くらいに自分も死ぬんだって自覚するそうです。

<しらき>
へー。9歳くらい。

<古田>
おおよそ、その時期に先程の経験が重なったようでして、
それ以降、死に対してやたらと興味を持つようになったのかもしれないな、とは思うんですよ。

<しらき>
それが多分関係してるんでしょうね。(キッパリ)

<古田>
ですかねぇ?

<しらき>
それで葬儀社に。

<古田>
もちろん「ご遺体だけじゃなく、ご遺族に対してどんな感じで接すれば納得していただけるか」とか、大切な事をたくさん学ばせていただきました
それから、もう一つのやりたい事であった、出版関係の仕事もしたいなと思いまして、その業界の方に移ります。編集プロダクションというところで未経験から5年くらい修行したのち独立しました。
その頃の仕事として、インターネットとかデジタルとか、IT系の記事が多かったんです。それと、それまで携わっていた死に関するテーマを掛け合わせて調べていこうと思いたち、2010年くらいから活動を始めました。
今説明している、「デジタル遺品」を扱う前に、亡くなった方のブログとかホームページとかSNSなどを追跡調査していくことをずっとやっていて、3〜4千件のデータベースを作りました

<しらき>
3〜4千件!?

<古田>
はい。そのデータベースは今もあるんですけども、
その作業と並行して色々と調べているうちに、亡くなった後のデジタル環境ですとか、周辺事情に対して案外誰もフォローしてないことに気づいたんです。

「誰もフォローしていないなら、ちょっとこれを調べていこう」という流れで【デジタル遺品】に繋がって、現在に至るという感じです。

<しらき>
面白いですね!
やっと繋がりました!一時はどうなる事かと。(笑)
今や、デジタルの普及は当たり前じゃないですか。昔のスマホもない時代とか、なんでしたっけ?Windowsの窓(※)みたいなやつが売り出された時は「わー」って感じの風景をTVでみてて…

※スタッフ注
“Windowsの窓”…おそらく「Windows 95」のブームの事かと思います。もしくは防音用の二重窓。

<古田>
流行語のノミネートでたしか「インターネット」って言葉がありました。

<しらき>
あの頃は全然、機械の事とかも意味も分かってなくて(笑)

※スタッフ注
今は理解している風の発言ですが、全然です。

【デジタル遺品】結局どうしたら良い?

<しらき>
色々伺いましたけど、「じゃあこれどうしたらいいんだろう?」となりますよね。
デジタル遺品に関して写真とかもそうだし、パソコンのデータとか絶対見られたくないものもあるだろうし。

<古田>
そうですね。これは<遺族の立場>で考えるか、<本人の立場>で考えるかの2通りあると思います。
まず<遺族の立場>で考えた時に、一番困るのはお金関係(仮想通貨も含めて)が何だかよく分かんない状態ということは避けたいですね。

そのお金関係をはっきりさせたいという要望は当然あると思いますので、スマートフォンやパソコンのパスワードっていうのは、きちんと伝えておかないといけないと思います。
ルクシーとして個人の方々からメール等で無料相談を受け付けてるのですが、相談の8割ぐらいは「スマートフォンのパスワードが分からなくて困ってる」というものですよね。
従って、遺族としては不明なパスワードを調べる作業が必要になります。例えば、残されているデバイスで、スマホが開けないんだったらパソコンはどうなのかとか、使っていたメモ帳に何かしらのパスワードが残されていないかですとか、そういう慣れない作業を強いられるので、ものすごく大変なんですよ。

<しらき>
想像したら、大変なストレスでしょうね。

<古田>
そうですね。
もし分からなければ、郵送物などを1年くらい追ってみて、「どうやらお金関係は大丈夫そうだな」とか判断したりします。
逆に取り引きが残っている場合は、郵送物で何かしらの兆しが見えたりしますので、そこから対応する場合もあります。ですからどちらにしろ非常に大変なんですね。

<しらき>
ちなみに、そのスマホのパスワードを調べたりとかいった作業って、ルクシーさんで対応できたりするんですか?

<古田>
私どもがやれることは、人数も少ないこともあり、アドバイスだけしかできないんですよ。
「これじゃあもうスマホは自分たちでは開けませんね、ではスマホが開ける会社さんはこちらですよ」ということで専門の会社などを紹介したりします。

<しらき>
そうなんですね。
無料で相談に乗ってくれるのはいいですよね。

<古田>
そうですね。出来る範囲のことしか出来ないんですけども、今までの知見を少しでも提供できればっていう感じでやってます。
そうは言っても、やっぱり本人が事前に対応しておくという事が一番楽なんです。無駄がないですし。

<しらき>
そうですよね。

<古田>
次に<本人の立場>で考えた場合ですが、我々がよく言ってるのは、最低限<スマホやパソコンのパスワード><お金関係で契約しているネット銀行の情報>についてメモしたものに日付をつけて、A4用紙で出力(もしくは手書き)して折りたたみ、紙の預金通帳と一緒に保管しておく。

<しらき>
ああああああああ。(感心)

<古田>
それだけでいいんですよ。

<しらき>
たったそれだけで?

<古田>
今残しておいても、別に普段の生活で見られるものでもないので特段支障はないですが、自分に万一のことがあったら

<しらき>
絶対皆通帳みますよね!

<古田>
そしたら「なんだこれ?」ってなって気づく

<しらき>
あっそれはいいですねえ!

<古田>
気をつけてほしい事として、年に1度は更新しましょうという事です。スマホとかって2年も使ってたら機種変するじゃないですか。1年に1回更新しておけば、ちゃんと生きた情報が遺族に伝わるから。

<しらき>
講演で紹介していたエンディングノートとかもアリですか?

<古田>
そうですね。伊勢田先生の提唱するエンディングノートにしっかり記入する方法もありますし、まずはA4用紙に手っ取り早くメモしておく方法もありますので、いろんなアプローチがあると思います。

<しらき>
ほんの数分でちゃちゃっと書くだけでも、残された人の労力っていうのがだいぶ軽減されるというか…

<古田>
本当にそうですね。
パスワードもほんの数文字ですが、ヒントがないとお手上げです。

<古田>
ちょっと前の 大迷路とか流行ったじゃないですか

<しらき>
ありましたね。巨大なやつ、遊園地とかに。

<古田>
ヒントがないご遺族って、本当にあの中に放り出される感覚だと思うんですよ。本当に手探りで、先が見えない
ところが、メモ書きを残しておけば、あっと言うまにゴールっていうくらいのものすごい労力をショートカットできるんです。

<しらき>
もう雲泥の差!
やみくもに出口を探すのは疲弊しちゃいますよね。

<古田>
なんかリアルな世界だと、遺品整理とかで貴重品に関しては「まあ何か多分、机周りに金庫っぽいのあるからここにあんだろうな」とか、見当つくじゃないですか。
ところがパソコンとかスマホって持ち主が、自分の死後も残るという事をあまり想定しなくて、散らかった使い方をしている場合が多い。そうなると遺族が何かしらの情報を探そうと思っても、とても苦労する事が多いんです。

<しらき>
そうですよね。本人でさえパスワード覚えてないこともあるのに、残された人のことを思うのならば、ちょっと義務じゃないですけど

<古田>
やっといた方がいいですね。

<しらき>
やるべきなんでしょうね!
ナットクしました!

今回のまとめ

<しらき>
古田さんにとって、【デジタル遺品】とはなんですか?

<古田>
そうですね。
意外とデシタル遺品って所詮は普通の遺品の中の一部なんで、あまり大したものではないと僕は思うんですよ。
デジタル遺品研究会ルクシーを立ち上げた時の標語も『デジタル遺品を普通の遺品へ』というメッセージを込めてました。
できればその「デジタルだから怖い」とか「デジタルだから大変」だよねっていうのは、もうなくして、「あっデジタル遺品ね」「普通の遺品ね」っていう風にフラットの存在になってくれるといいなと、僕は思います。

<しらき>
ああ、そういうメッセージを込めての標語だったんですね。
【デジタル遺品】ってやっぱりなんか難しいイメージですもんね。
知らないからか、まだそんなに知られてない。

<古田>
そうですね。
ちょっとコツを掴めば、あとは本人がちゃんと気を付ければスゴイ楽になるんです。
そういうのが広まってくれたらいいなって思いますね。

<しらき>
色々とお話を伺えて、本当に勉強になりました。
古田さんのキャラクター、とても素敵です。

<古田>
いえいえ。

<スタッフF>
どのあたりが印象に残ってますか?

<しらき>
やっぱり変態(褒め言葉)だなあと。

<スタッフF>
そこかいっ!!
古田さん、優しく接していただき、ありがとうございました。

<しらき・古田>
本日はありがとうございました。

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